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自然と共に生きる Ueta LABO

Ueta LABO代表取締役社長
上田 知毅 先生

今日のキーワードは「循環」だ。

循環といっても「回るお寿司」や「最近は血圧が高くて・・」といった体の循環器系の話ではなく(笑)、自然環境での循環のことだ。 

Ueta LABOのホームページ(https://gskin.jp/index.html)によれば、代表的な商品である「げんすけグリーン」は、土が柔らかくなるのに必要な有機質、糖分、たんぱく質を多く含んだCN比の低い完熟酵素堆肥だ。

これを使うと、「乳酸菌」「光合成細菌」を中心とした”善玉菌”と呼ばれている自然界に存在する身近な微生物の力で、水はけの良いふかふかな土になるとのこと。

でも単に「微生物を利用した肥料」作りの会社ではなさそうだ。上田先生がどんな価値観や考え方をお持ちなのか、興味津々だ。

目次

Ueta LABOができたきっかけ。

父親は車を作っているマツダ株式会社に勤めていたのだが、退社して高知に帰ってきた際、須崎の海は養殖でとても汚れていた。澤井製薬の取締役をやっていた母方の祖父が「これからは微生物の時代だ」と言っていたこともあって、父は上田微生物(現Ueta LABO)を創業した。

僕は子供の時はのほほんと暮らしていたが、結婚するときになって、「家業は自然の循環系に対してものすごいことをやっている。俺はこれをやらなくてどうするんだ」と心のエンジンがかかった。

山暮らし13年で気づいたこと。

山では自宅の周りに人が少なくて気を使うこともなく、焚火もできる。妻も同じような考え方だったので、須崎市街地から少し離れた桑田山という地区で暮らし始めて13年になる。

庭の畑でいろんな野菜を作ったり、ニワトリ(ご子息はペットだと言っていたが、上田先生は非常食だと言っていた。(笑))を飼ったり、養蜂もしたりしている。(ちなみに蜂蜜はセイタカアワダチソウの蜜が入るとまずくなるので、その前に取らないといけない。)

雨が多いことがいかに恵まれたことなのかも知った。水道が来ていない山の中では、地域から水利権の許可は簡単にはもらえない。地域の決まりごとで住民の2親等以内にしか分けてはいけないこととなっている。

でも地域の草刈りや登山道の整備、公民館の維持管理、排水路の整備などあらゆる地域の活動に参加することを7年間続けた。するとある会合で「こんな若い人がこの地域にいてくれるのなら水利権を分けてあげてもよいのでは」と言ってくれる人がいて、ようやく水利権を得ることができた。

循環!

 田んぼをやっていると、水と生物の共存の大切さがわかる。たくさんの蜘蛛の巣が張っている田んぼが有機栽培の特徴だ。暮らしているうちに、ますます食の大切さ、命の循環、生き物としての本質的なところを感じるようになった。

例えば土の中で微生物は世代交代を起こすので、微生物が働きやすい環境を作ってあげることで肥料として使うことができるようになった。

海の養殖業では、これまでは飼っている魚の何割かは死んでしまっていたのだが、カンパチの養殖においては独自に開発したGS(げんすけ=源助)菌を使うとなぜかほとんど死なない。

なぜ死なないかは、まだエビデンス不足だ。でもこれまでは、微生物を使う農法はエビデンスを持たずに経験だけでやってきた。やや宗教的だった微生物利用も、これからはちゃんと説明できるようにしないといけない。

山で暮らすうちに、自分たちの体は食べ物からできていることを再認識したし、自分も自然の一部として生きていきたいと思う。

暮らすように働き、働くように暮らす。遊びから学んだことと仕事から学んだことがつながっている。これからは林業と農業、水産業の輪をつないでいきたい。

編集後記

彼の趣味は多岐にわたっているが、その遊び場は山・川・海だ。まさに遊びの中で仕事の気付きを得ているように思える。

僕は上田先生を「(GS菌使いの)循環の錬金術師」だと思っていて、その錬金術は、その場でくるくる回る循環ではなく、昇華とか、ミックスアップ、スパイラルアップと言ったイメージだ。彼は遊びや仕事、何気ない日常生活のあちこちで「あぁ、俺は生きている」と感じることができているのじゃないかなぁ。

この記事を書いた「こうち仁淀ブルー熱中塾」メンバー

豊後 彰彦
豊後 彰彦

会議の設計施工管理屋を自称する高知県庁の土木技術者。マイボートで釣りをしながら、友だちといじりいじられる時間が至福です。

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