伊勢ファーム社長
伊勢昇平先生
ブルーチーズドリーマーと名乗り、人前で話すときは、ブルーチーズをイメージしたオリジナル「青カビパーカー」を着る。その理由は、覚えてもらうため。世の中は、自分に興味無い人がほとんどだから・・と語る伊勢先生。
日本の生産者で初めて、JALとANA2社の国際線ファーストクラスで採用された「江丹別の青いチーズ」の唯一無二のブランドづくりの秘訣を、お話しいただきました!
世界一のチーズ
子供時代は、絵に描いたような貧乏生活。家に下水がきてないことを、学校の先生から、からかわれ、貧乏だから馬鹿にされるのだと悲観した。江丹別を出て、世界に通用する人間になって見返そうと、英語の勉強を始めた。すると、英語の先生との会話の中で、江丹別から世界を目指す方法もある。「父親の牛乳で世界一のチーズを作ること」も、世界に通用することだと気付かされた。
なぜブルーチーズなのか?世界一のチーズを作りたかったので、どうやったら世界一のチーズをつくれるかを考えた。唯一無二で、江丹別でしか、自分にしか作れないものは何か・・気候が最も近いフランスのオーベルニュの名産がブルーチーズであることを発見。これだと思った。ブルーチーズは癖があり、食べられない人も多いからと、みんなに反対されたが、違和感があった。誰もやっていないから、商品は売れると思っていたから。
ブルーチーズドリーマー流:商品づくり
- マーケティングをすると商品が凡庸になる。効率的なものが正解になるから、似通った答え=商品になりがち。
- 正解を探すのではなく、選んだものを正解にする。選んだものを、どう工夫するか。何を選ぶかに時間をかけすぎないことが重要。
- 自分こそが最大のオリジナリティ。世界には多くのブルーチーズがあるので、自社の商品を選ぶ理由を顧客へ示す必要がある。そこで、作っている本人の魅力を発信することが大切。
- 非効率をいかに楽しむか、楽しませるか。僕の商品は手作りで、安定して高品質を出すことが難しいが、その非効率さを武器にすることが重要。
- 未来も一緒に売る。商品を購入したお金がどうなっていくかを、お客さんに見せることが重要。買ったら楽しそうなものは、選ぶ理由になるので、僕は、江丹別がより面白くなっていく様を見せている。
結果、発売3か月でJAL国際線ファーストクラスの機内食に採用された。しかし、始めて1年ほどでスランプに。ブルーチーズに青カビが生えなくなった。試したことの9割以上が失敗し、2~3年、右往左往する中で、自分の力ではどうにもならないと、フランスのオーベルニュへチーズ修行をしに行った。
世界一のチーズという夢(怨念)は、過去のトラウマや、社会に認められたいという欲求からだった。復讐や嫉妬という負の感情だが、自分を高めてくれた。誰にも負けないものを作ろうと、こだわりに繋がったのでよかった。
何かを始めるとき、社会の役に立つためには何ができるかと発想する人も多いが、怨念は自分しかない内なる欲求なので、オリジナリティに繋がっている。僕が考える世界一のチーズは、江丹別の酒粕やワインをつかった、よりオリジナリティが強い、究極のオンリー1づくり。
ブルーチーズドリーマー流:情報発信
- たった一言で人生は変わる。チーズ修行へ旅立つ機内のCAさんからのメッセージのおかげで、1年間がんばれた。この体験を、SNSで発信するとバズり、CAさんが見つかったとANAが食事会を開いてくれた。その場で、ANAのファーストクラスの機内食への商品の採用が決定した。この体験は、偶然ではなく、エレベーターピッチを意識して、短時間で自分を魅力的にアピールできるように、10秒で自己紹介をする練習を重ねていた。運命を掴むためには、準備が必要。日頃からどう発信するかを準備万端にしている。
- 伝わる話し方として、「リズム、滑舌、わかりやすさ、5W1H、嘘はだめだが背伸びはOKオタクの証明ができるか(ブルーチーズなら、あいつに聞けば間違いないと思わせる。)」を意識している。
- ブログは、「ブルーチーズ」を検索した全ての人が、僕の記事にヒットするように仕込んでいる。ネット上で自分が取れる可能性があり、最も検索されやすい言葉を意識したブログ制作を行っている。
- 本の出版は、自ら出版社へ売り込み、出版へ。
- YouTubeは、自分が見せたいものではなく、視聴者が何を見たいか、例えば成功ではなく失敗をみせ、何が効果的だったか、データを活用してPDCAする。
もうひとつの夢
江丹別を世界一の村にしたい!「世界一の村」の定義はないが、今よりも、良い1日を明日も過ごす。どうせやるなら、自分が考えうる最も高みを目指す。
これからやりたいことは、数えきれない。夢も希望もいっぱい!今は、サウナにも取り組んでいる。林業をきっかけに江丹別へ来た若者たちが、江丹別で仕事をできるような環境をつくりたいと思ったのがきっかけ。自然を楽しめて、薪を使って・・と考えたとき、サウナだ!と。江丹別は四季を楽しめる場所なので、相性が良い。林業やっている若者たちから薪を買って、サウナでも働ける。
子供の頃は、出たくてしょうがなかった江丹別が、全く違う場所に変わった。夢も希望もなかったのは、江丹別ではなく、かつての自分自身だった。自分がうまくいかないのを、親や環境のせいにしていた。
地域に発する言葉は、全て自分たちに返ってくる。江丹別は、世界一だと思っていて、それは自分が世界一であるということ。魅力的な地域にしたかったら、まずは自分がアイデンティティを見つめ直し、魅力的になることが大切。自ら最前線に立つ。
この記事を書いた「こうち仁淀ブルー熱中塾」メンバー
三度の飯より猫とスイーツが好き!
東京の洋菓子メーカーに勤める高知在住のリモートワーカー
得意技はマーケティング
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