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消費者と直接つながる夢を追いかけて ~スイカ屋えもとの脱藩ものがたり~

 アンテナスイカ屋えもと・江本農園主 妻
江本美江 先生

ここでいう脱藩とは「JA(Japan Agricultural Cooperatives:農業協同組合)を通じて生産物を出荷する系統出荷からの卒業」を意味している。

なぜ江本農園はJAという大きな傘の下から卒業し、安定した販売方法を捨てたのか?そこには、江本ご夫婦の「生き様」がベースにあった。

目次

JAスイカ農家の一員でスタート

21歳の時に看護師として神戸市で就職したけど、やっぱり土佐弁は出るし、患者さんとのコミュニケーションでもよそ者感が出てしまうので高知にUターンした。

25歳の時に今の夫と知り合って結婚し、3人の子育て最中の31歳の時に本格的に就農してJAのブランドスイカ農家の一員として活動しはじめた。

2016年46歳の時、いろんなことがあってJA系統出荷から脱藩し、直販農家になった。それまでは生産物をJAに卸しさえすれば、後はJAが売ってくれていたのだけれど、これからは全部を自分で売らないといけない。でもそうすることに決めた。

スイカのこと

JAブランドスイカの特徴は、高知だからできる冬のスイカ栽培だ。ビニールハウス栽培で「夏の野菜を冬に出荷する」ことで品薄な時期をカバーする。耕地面積が狭いので年に3回作付けして収穫するが、光合成を十分にさせるために、立体栽培に仕立てて一つの苗から1玉だけ実らせるこのやり方は40年前から先人たちが確立していた。徹底的な管理をして、外れの無い高品質、高糖度なスイカを生産してきた。

スイカの食べごろは、完熟した、とりたてのフレッシュなときが一番。美味しいスイカの選び方は、そっと優しく指先ではじいてみる。その際、ボンボンと低く響かない音がするときは熟しすぎて中身がひび割れている。一方キンキンと金属音のような高すぎる音は未熟かもしれない。その中間の高さで音がよく響くものを選ぶとよい。

脱藩ものがたり

 なぜ脱藩したか?

 JAでの系統出荷は、収入の面から言えば安定していて、秀品率が上がるように真面目にやっていればそれなりに収入も上がる。

でも私は、スイカを知るほどに「どんな人が手に取って食べてくれているのか?味はどうだったのだろう?ちゃんと食べごろで食べてくれているのか?」を知りたくなった。

また大阪など各地での視察や百貨店での試食宣伝に参加してみると、お客さんからは「冬にスイカ?」「いつが食べごろなの?」などと問われることがあり、認知度が低いことに驚いた。

こちらとしては「鮮度が命」で出荷しているのに、卸売市場⇒仲買⇒小売り店の流れのなかで、「消費者に生産者の思いは伝わっているか?」「消費者はどんな感想を持っているのか?」がまったくわからないので、JA出荷に限界を感じ始めた。

 2012年9月、フェイスブック(FB)と出会い、認知度が低いJAブランドスイカを知ってもらえるかもしれないと考えて、JAスイカ部会のホームページ(HP)更新や私個人で作ったHPの中でブログ作成やFBでの投稿を始めるようになった。もちろん、JAのHPではJA生産者部会の一員として、個人のHPでは江本美江として、公私混同にならないように記述していた。

でも部会から事情聴取をされるような状況になって、個人HPの削除を迫られたり、FB上でのJAスイカ部会会員の明記を制限されたりした。

 夫婦二人で毎日たくさん話をして、自分たちのブレない・揺るがない・譲れない気持ちは何かを確認した。私:「私らしくありたい」 夫:「死ぬまで農業・スイカ屋をやりたい」

2016年4月18日、JAの部会で「今日で辞めます」と宣言して、JAマークの付いたシールを大量に捨て、JAを卒業した。実は脱藩前から「アンテナスイカ」の商標登録申請をしていたし、脱藩直後には「アンテナスイカ」ブランドのロゴマーク、シールやコンセプトを明示したリーフレット、食べごろカードなどを作って前に進んだ。

私は、やりたいと思ったらすぐやる人で、新たな「ひと・もの・こと」に出会いたい人なので、熱中塾のご縁にはとても感謝している。

編集後記

「ヨッ!男前!」と声をかけさせていただきます。講師の先生、しかも女性に対しては本当に失礼ですが、以前からの知り合いと言うことに免じて許してください。

また、この前は「あなたは、ずっと泳いでいないと呼吸ができなくて死んでしまうサメみたいな人だ。」と言ってしまったけれど、あまりにも失礼でした。せめて「カツオみたいな人だ」と言うべきでした。重ね重ねお許しください。

僕は本当は、あなたの価値観が明確なところだとか、お客様志向の塊であるところや「頼まれごとは試されごと」と思っていることを、とてもカッコイイと思っています。

このアンテナスイカ。冷蔵庫にちょうど入るし、皮が薄くて、とっても甘い。ハレの日の贈り物にお勧めです。

江本農園:https://suikaya-emoto.com/

以上。

この記事を書いた「こうち仁淀ブルー熱中塾」メンバー

豊後 彰彦
豊後 彰彦

会議の設計施工管理屋を自称する高知県庁の土木技術者。マイボートで釣りをしながら、友だちといじりいじられる時間が至福です。

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